大地の魔術師たちから四半世紀ーFondation Louis Vuittonが提示するアフリカのアート

アート/アフリカ、新たなアトリエ

展覧会のタイトルを見ると、キュレーターがどのような文脈を作ろうとしているのか無意識に推測しようとしてしまいます。
Art/afrique,le nouvel atelier アフリカとアート、新たなアトリエ。土着文化を引き継いだ作品、アパルトヘイトへの抵抗など黒人の暗い歴史を表現していたステレオタイプ的なアフリカンアートからの脱出?とわくわくしながら、ルイヴィトン財団(Fondation Louis Vuitton)に行ってきました。(広報で大々的に使われているシェリ・サンバ(Chéri Samba)の作品がすでにちょっとヤバいですね)

Chéri samba, J’aime la couleur.2003

一番最初に通されるコレクション展”Etre là (Being there:そこにいる)”。

これは、、結局お面と、有名な写真家と、レジスタンス的なメッセージを伝えようとする絵画と、アフリカ=後進国というイメージを崩すための、近未来的なイメージを持ったインスタレーション、、、一つ一つの作品はとても素晴らしいです。けれど、テーマ展としてはアフリカの新しい側面を見せることができていないのでは?

けれど、それは全くの稀有でした。Being thereとは、そこに基盤と残っている”アフリカ”とカテゴライズされる表現の基盤にある彼らの精神のことなのでしょう。

Jean Alexander, infantry with Beast, 2008-2010

27匹の犬の顔をした裸体の人型の彫刻が、小さな獣に向かってレッドカーペットを行進しています。同じ顔、同じ姿、同じ靴を履いていますが、その体の模様が一つ一つことなることからそれらが個人であることを示しています。大群で一匹の小さな獣に向かっているのですから、彼らの方が恐ろしい存在であることは明確です。が、同時に、裸体というのはとても傷つきやすい存在です。ジャン・アレクサンダー(Jean Alexander)は父親のナチス時代の経験と自身のアパルトヘイトへの関心からこの作品を制作しました。

David Goldblatt, The removal of Statue of Cecile John Rhodes from the Campus of the University of Cape Town, 2015.

セシル・ローズ(Cecile John Rhodes)は、ケープ植民地時代の首相を勤めた政治家です。彼の銅像を取り壊すという一つの歴史の終焉を現す場面ですが、周りの野次馬たちは携帯で写真を取っているというとてもイロニックなシーン。

David Goldblatt, Incomplete houses, 2006.

David Goldblatt。1998年から分配の始まったはずの集合住宅ですが、工事が着工されたのは2003年。歴史的に重要なアーカイブでもありながら、とても美しいものばかりでした。

William Kentridge, other faces, 2011

William Kentridgeによる木炭画を35mmフィルムで撮影したアニメーション。こちらから全映像が見れます>https://vimeo.com/groups/319358/videos/102311616

この展覧会でフランスのアートの底力を見た気がしました。30年近く前にポンピドゥセンターで開催された”大地の魔術師たち”から、アフリカのアートを購入し続けたコレクターであるJean Pigozziと、その指名を受けアフリカへと毎月のように足を運び続けたキュレーター・ギャラリストのAndré Magnin。彼らのインタビューを読んで、彼らの動機は多文化主義やポスト植民地主義などの政治的な体裁(それらの理論が悪いのではありませんが、しばしばアートの意義と混同されてしまうことがあります)ではなく、紛れもなくアートへの情熱だと感じました。

ルイ・ヴィトン財団のすべての展示室を使った大規模で濃厚な展覧会で、すべての作品を紹介できなくてとても残念です、、!8月28日まで開催されていますので、機会のある方は是非足をお運びください!

Fondation Louis Vuitton
アドレス:8 Avenue du Mahatma Gandhi, 75116 Paris
開館時間:月・火-木曜日 11:00-20:00 (金曜日のみ23時まで)、土・日曜日 9:00-21:00

閉館日:火曜日
料金:無料
ホームページ:http://www.fondationlouisvuitton.fr/ja.html