フランスで大衆芸術はウケるのか?マイヨール美術館・POP ART/ポップアート展

パリにやってきたポップアート

Musée Maillol(マイヨール美術館)は、古くは修道院、個人の邸宅でしたが、1951年にはプレヴェール兄弟が開いたキャバレー、La Fontaine des Quatre-Saisonsとして美術家たちの社交場となった建物です。彫刻家Aristide Maillol(アリスティド・マイヨール)の最後のモデルであったDina Viernyが買い取り、2016年秋から現代美術館として再オープンしました。

今回の展覧会«POP ART — Icons that matter»(ポップアート-偉大なアイコンたち)は、ニューヨークのホイットニー美術館のコレクションから20世紀のアメリカのアートの動向を示唆するポップアートの絵画、彫刻、シルクスクリーンなど約60作品を展示しています。


そもそもポップアートとは何でしょう?イギリスと、特にアメリカで活発になった大衆芸術運動ですが、戦後からアートの市場と磁場はヨーロッパからアメリカに映ってしまったので、フランスでは馴染みが薄いかもしれません。資本主義の恩恵と同時に自国への文化に衝撃を受けたのは、他ならぬアメリカだからです。

ポップアートは、日常に馴染みのあるオブジェ・商品を題材にしたり、大衆文化のアイコンである記号を用いる、もしくはシルクスクリーンをはじめとする、主に広告に用いられる印刷技術を使うなどのテクニックが代表的です。

Roy Lichtenstein(ロイ・リキテンシュタイン)のこちらの作品は、アンリ・マティスの絵画のオブジェを立体作品として三次元に起こしたもの。

マティスが生きたモダンアートの時代には、作品の唯一性、オリジナリティの神聖さはまだ存在していました。資本主義社会によって、彼らの作り上げた«イメージ»はすでに富やハイ・アートという名のキッチュなイメージのアイコンになってしまっているとも言えます。キテンシュタインはそのようなアイコンをさらにコミックのようなタッチに仕上げ、二次元と三次元、オリジナルと複製などの間で遊ぶような作品を作りました。

Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)のBefore and Afterは、ポップアートというヒントがあれば、美容整形の広告がオリジナルであるということを想像するのは難しくありません。

ウォーホルは同じ版を二枚刷り、片方を紙やすりで削って女性の鼻を美しく整形しました。
世界に4枚しかない”貴重な”作品。

変わって、Jim DineのDouble Isometric Self Portraitは、なぜポップアートの文脈かよくわかりませんでした。この絵画で最初に感じるのはどこか懐しい、民族衣装のような雰囲気の絵画。上部には金属のインスタレーションが取り付けられていて、それが拘束具のように感じられました。この衣装は実は彼が愛用していたバスローブで、金属のオブジェは彼の実家である金物屋から着想を得ています。とてもパーソナルな物の組み合わせである一方で、バスローブという大量量産される商品と自身のルーツの一部である金属製品は、アイデンティティの危うさを感じさせます。

ポップアートは視覚的な特徴が強く見飽きた印象を持っていましたが、じっくり見返すと新たな発見も多く、楽しむことができました!
アートやカルチャーイベントの多いパリの秋には是非オススメしたい展覧会です!

Musée Maillol «POP ART — Icons that matter»
アドレス:61 rue de Grenelle 75007 Paris
期間:9月22日-1月21日
開館時間:10:30-18:30 (金曜日のみ21:30まで)
閉館日:展覧会期間中は無休
料金:無料
ホームページ:http://www.museemaillol.com/