島袋道浩«タコへ、サルへ、そして人間へ» Le Crédac

パリ市の郊外にあるアートセンターCrédac(クレダック; Centre d’art contemporain d’Ivry)で、島袋道浩の個展«Pour les pieuvres, les singes et les Hommes(タコへ、サルへ、そして人間へ)»が開催されている。
センターのあるIvry市に作家が滞在し制作した新作も紹介している展覧会。

Ivry Earth, Water and Sunlight, 2018

このインスタレーションの土は、Ivry市内の工事現場や畑などの様々な場所から採取したもの。展覧会期間中、職員が毎日水やりをしており、それぞれの土に異なる種類の植物が生えたり、もしくは全く生えなかったりしている。鑑賞者はこのインスタレーションが設置されている窓ガラス張りの展示室から、実際の町の様子を見ることができる。室内でありながらも、サイトスペシフィックな作品だ。

Erect, 2017

石巻、牡鹿半島で行われたパフォーマンスの映像作品«Erect(起こす)»と、それに共鳴させるように「起こされている」ブロックなどの破片。
映像作品では、津波によって荒らされてしまった海岸の流木・倒木が起こされている。自然の力によって変えられてしまった風景を、人間の手によって、ささやかに変える行為である。
それに対して手前には、アーティストがIvry市に到着した際に丁度取り壊されていた二件の建物の破片が”起こされ”て並べられている。二つの全く異なる場所で、人によって、もしくは自然の力によって壊されたオブジェが、「起こす」という行為のみでつながっている。

The Snow Monkeys of Texas – Do snow monkeys remember snow mountains?, 2016

展覧会のタイトルにもなっているタコとサルには、それぞれ展示室が割り当てられていた。
«The Snow Monkeys of Texas – Do snow monkeys remember snow mountains?»は、京都の雪山からテキサスの砂山に連れて来られた 猿たちが、雪を覚えているのかという素朴な疑問から出発した映像作品。最初は訝しげに雪を触っている猿たちが、突如何かを思い出したかのように(本当にそう見える)興奮しだし、次第に雪の取り合いになる。

Asking the Repentistas- Peneira&Sonhabdor- to remix my octopus works, 2011

タコの展示室(とあえて呼びたい)で目を引くのは、サオパオロビエンナールで制作した映像作品。作家の古い作品と新作を展示するように依頼されたため、町の道で歌っている二人組に、島袋道浩が漁師になる叙事詩を歌ってもらった作品。

展示室には、作家とタコ・サルついての関係と思い出についての文章が綴られている。
その言葉がとても大真面目でついクスっとしてしまうのだが、同時に、まるで旧友について語っているかのようにノスタルジックで優しさに溢れているように感じる。
島袋道浩にとって、タコやサルは友達のように、人間と平等な存在なのだろう。
そしてそのすべてを包括する自然について、また、対局に見えるが自然と同じ”環境”として捉えられる町について、ただ真面目に観察しながらも、特別な視点から表現している作品たちが集まっていた。

島袋道浩«タコへ、サルへ、そして人間へ»Le Crédac
アドレス:1 place Pierre Gosnat, 94200 Ivry-sur-Seine
開館時間:水-金曜日 14:00-18:00(土・日曜日は19:00まで)

閉館日:月・火曜日
料金:無料
ホームページ:https://credac.fr/v3/shimabuku

島袋道浩さんと岡部あおみさんのトークの文字起こしがとても率直で素敵です。

http://apm.musabi.ac.jp/imsc/cp/menu/artist/simabuku_michihiro/intro.html